三槓子は「カンを3回する」というだけの役ですが、実際には役満クラスに近いレアさを持つ2翻役です。
条件を理解しておくと、実戦でのカン判断やリスク管理がぐっと楽になります。
ここでは基本ルールから点数感覚、関連役との関係、そして「三槓子を意識してよい場面/避けるべき場面」まで、実戦的な視点で整理します。
💡この記事で理解できるポイント
- 三槓子の正式な定義と成立条件(門前・副露、槓子の種類など)
- 三槓子の翻数・符・おおよその点数イメージ
- なぜ役満級にレアなのか、その具体的な理由
- 実戦でのカン判断・四開槓ルール・ローカルルールまで含めた総合的な扱い方
三槓子の基本ルールと成立条件

まずは「三槓子とは何か」をはっきりさせます。
どんな形なら三槓子になるのか、門前や鳴きの条件、槓子の種類などを整理しましょう。
三槓子の定義と形

結論から言うと、三槓子は「槓子を3組作って和了したときに付く2翻役」です。
槓子(カンツ)とは、同じ牌4枚でできた1組のブロックのことです。
三槓子の基本条件は次のとおりです。
たとえば、次のような形は三槓子です。
![三槓子の手牌例。
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→槓子3組+刻子1組+雀頭で三槓子成立
ここで大事なのは、残りの1組が順子でも刻子でも良く、その1組が槓子以外であれば構わないという点です。
槓子が3組あれば、そのほかの部分の形は三槓子の条件には影響しません。
また、待ちの形も問いません。
単騎待ち、シャンポン待ち、カンチャン待ちなど、どんな待ちでも三槓子としては成立です。
槓子の種類と組み合わせ
三槓子では、槓子の種類や牌種にも特に制限はありません。
自由度が高いぶん、条件はシンプルです。
使える槓子は次のようなものです。
さらに、槓のやり方も何でも構いません。
- 暗槓(自分の手牌4枚をそのままカン)
- 明槓(他家の牌を鳴いてカン、大明槓)
- 加槓(ポンしている刻子に、後から自分で1枚ツモってカン)
これらの組み合わせも問いません。
「暗槓3つ」「明槓3つ」「暗槓2つ+加槓1つ」など、何パターンでも三槓子としてOKです。
併せて、ここで覚えておきたいのは、槓子は刻子の一種としても数えられるということです。
そのため、後で出てくる対々和や三暗刻と複合しやすくなります。
門前・副露と三槓子
三槓子は門前限定の役ではありません。
つまり、
ということです。
門前かどうかで変わるのは、リーチ・門前清自摸和・一発・裏ドラなどの上乗せ要素だけです。
三槓子そのものは、門前でも鳴きでも常に2翻固定となります。
そのため、実戦では次のような進行が多くなります。
- もともと刻子が多い手をポンして進行
- 対々和(トイトイ)を狙っていたら、途中で加槓が重なって三槓子になった
- 風牌や三元牌を連続で鳴き、後から槓できて三槓子に変化
逆に、門前三槓子でリーチという形は、条件・確率ともに非常にレアです。
暗槓を3回もできるだけでも珍しいうえ、門前を維持したままというのは現実的ではありません。

三槓子の条件は「槓子を3組作る」だけで、門前/副露も牌種も一切問わない役。まずは「槓子3つ作れば2翻」という超シンプルな定義だけ、しっかり押さえておくと良いよ。
三槓子の翻数と確率

ここでは、三槓子の翻数・符・点数のイメージを整理します。
同時に、「なぜこれほどレアなのに2翻しかないのか」という評価面も見ていきます。
三槓子の翻数と符計算
三槓子の翻数は常に2翻です。
門前でも鳴きでも、暗槓でも明槓でも、状況に関わらず固定です。
ただし、三槓子は符が増えやすい役です。
これは、槓子そのものに高い符がつくためです。
槓子1組ごとの符の目安は次のとおりです(子の出和了・門前加符などは一旦無視)。
| 種類 | 明槓 | 暗槓 |
|---|---|---|
| 中張牌(2〜8の数牌) | 8符 | 16符 |
| 么九牌(1・9・字牌) | 16符 | 32符 |
三槓子では槓子が3組あるので、たとえば中張牌の明槓3つだけでも、
8符×3=24符 が槓子だけでつきます。
ここに副底の20符が加わるので、それだけで44符になり、切り上げで50符以上の手になりやすいです。
「満貫には届かないが、それなりに重い手」になりがち、というイメージを持っておくと良いです。
麻雀の点数計算の簡単な覚え方も、併せて読むと点数のイメージがもっとつきますので、ぜひご覧ください。
三槓子の点数イメージ
実際の点数感覚を、よくある複合パターンごとに整理しておきます。
1つの目安として、次のようなケースを考えます。
このとき、70符3翻は子で8000点、親で12000点と、満貫クラスになります。
つまり、三槓子は「翻数は2翻でも、符とドラで高くなりやすい役」です。
一方で、翻数だけを見ると以下のような評価になります。
- 三槓子のみ(2翻)+ドラなし → 満貫には届きにくいが、若干高い(例:2翻70符は4500点)
- 三槓子+対々和(4翻) → 満貫確定(符はほぼ意味がなくなる)
- 三槓子+対々和+三暗刻(6翻) → 跳満以上確定
ポイントは、槓によりドラが増えるので、ドラが乗ればあっさり跳満・倍満に届きうることです。
逆に、ドラが全く乗らないと、「見た目ほど高くない」ケースもあります。
三槓子が超レアな理由
三槓子はルール上はただの2翻役ですが、出現率は0.005%と役満より低いと言われます。
その理由はいくつもありますが、特に重要なものを整理します。
同じ牌を12枚集める難しさ
三槓子には、4枚組の槓子が3組必要です。
合計で同じ牌を12枚、一人が確保する計算で、これだけでも確率的に相当きついです。
明槓や加槓を使っても、元の刻子部分は自分で3枚集める必要があるため、ハードルはあまり下がりません。
槓そのものがリスキー
カンをするとドラが増え、場全体の打点が上がります。
自分の手も強くなりますが、他家の手への影響も同じかそれ以上です。
そのため、実戦では「本当に必要なカン」以外は控える人が多く、そもそも3回もカンが発生しにくいです。
3回目のカンまでに先に和了してしまいやすい
2回カンした時点で、刻子・槓子が3組完成していることがほとんどです。
この時点でほぼテンパイになっているため、3回目のカン牌を引く前に和了牌を引いてしまうことが多くなります。
槓の回数制限・四開槓流局
一般ルールでは、場全体で槓の回数は4回までです。
他家が先に2回槓をしてしまうと、自分は最大2回までしかカンできません。
さらに四開槓流局ルールがあると、自分が3回カンしたあと他家が1回カンしただけで流局になり、三槓子で和了できないこともあります。
リスクに対して得が少ない
ここまでのリスクを負っても、役としては2翻です。
期待値で考えると、「三槓子を狙う」よりも、他の安全な手で和了を目指した方が合理的な場面がほとんどです。
このように、「確率の厳しさ」+「戦術的にカンを控えることが多い」という二重の理由で、三槓子は極端にレアな役になっています。

三槓子は「符が増えやすく、ドラが乗れば爆発する2翻役」だよ。でも、成立確率は役満クラスなので、常に狙う役としてではなく「結果的につけばラッキー」くらいに考えるのが現実的だよ
三槓子と複合役(トイトイ・三暗刻など)・実戦判断

ここからは、三槓子と相性の良い役・関連役を整理しながら、「実戦ではどう扱えばよいか」を具体的に考えていきます。
三槓子と対々和の関係
三槓子と最も相性がよい役が、対々和(トイトイ)です。
対々和は「すべての面子を刻子(または槓子)で作る役」で、2翻役です。
ポイントは、槓子も刻子の一種としてカウントされることです。
そのため、
という形になれば、自動的に対々和が付きます。
よくある実戦イメージは次のとおりです。
- もともと対子や暗刻が多い配牌で、「トイトイ」などを狙う
- ポンした牌をツモって加槓したり、暗刻を暗槓・明槓に伸ばしたりする
- 気付いたら槓子が3組になり、三槓子+対々和が完成
このときの翻数は、
- 三槓子2翻+対々和2翻=4翻(+役牌やドラ)
となり、翻数だけで満貫が確定します。
そのため、三槓子を意識するなら、
「まずはトイトイを本線で進め、結果的に三槓子が付いたらラッキー」
という考え方がもっとも現実的です。
他にも複合する役はありますので、他役を確認したい方は、麻雀役の一覧を参考ください。
三槓子と三暗刻・四槓子
次に、三槓子と三暗刻・四槓子との関係を整理します。
三槓子と三暗刻は、次の条件のときに複合します。
このとき、暗槓は暗刻としても数えるため、三槓子(2翻)+三暗刻(2翻)=計4翻になります。
ここに対々和や役牌が入ると、跳満・倍満級の手まで一気に伸びることもあります。
一方で、四槓子は「槓子4組」で成立する役満です。
三槓子からさらにもう1回カンすると、四槓子の一向聴になることがありますが、
など、現実にはかなり厳しいです。
「三槓子から四槓子を狙う」より、「三槓子でしっかり上がり切る」方が実戦的です。
三槓子を狙う場面判断
ここまで見ると、「じゃあ三槓子って、いつ狙えばいいの?」という疑問が出てきます。
結論として、三槓子そのものを「狙う役」にすることは、ほぼおすすめできません。
理由はシンプルです。
そのうえで、例外的に意識してよい場面を挙げるとすれば、次のような状況です。
このときも、三槓子を第一目標にするのではなく、下記くらいの温度感にとどめるのが安全です。

実戦では「トイトイ・役牌・ドラ」を本命にしつつ、結果的に三槓子がついたら嬉しい、くらいがちょうど良いよ。三暗刻や四槓子を意識するのも、まずは手が自然にその方向へ向かっているときだけにしましょう。
三槓子のカン判断とルール差

最後に、「カンを3回もする」ことのメリット・デメリットや、四開槓ルール、ローカルルールでの扱いの違いをまとめます。
実戦でのカン判断の軸がはっきりする部分です。
三槓子と複数カンのリスク
カンは一見お得そうですが、メリットとデメリットがはっきり分かれる行為です。
三槓子を意識するときは、ここを正しく理解することが大切です。
代表的なメリットは次のとおりです。
一方、デメリットはより深刻です。
三槓子を作るということは、3回カンをする=ドラ表示牌が4枚になるということです。
リーチが入れば、裏ドラも最大4種類になります。
そのため、下記のような局面での「なんとなくのカン」は、基本的に避けるべきです。
- 序盤で誰もリーチしていない
- トップ目で無理をする必要がない
- 安全牌が足りず、守備がかなり苦しくなる
三槓子と四開槓・四槓子
三槓子と切り離せないのが、「四開槓(スーカイカン)流局」と「四槓子(スーカンツ)役満」です。
多くの日本ルールでは、次のような扱いになっています。
- 四開槓:場全体で4回カンが行われたら流局(四槓散了)
- ただし、一人が4回のカンを行った場合、例外として流局しないルールが多い
ここから生まれる三槓子のリスクは、次のようなものです。
つまり、三槓子テンパイ状態は「常に流局と隣り合わせ」と言えます。
せっかく苦労して作った三槓子形でも、ルール上の制約で和了できないことがある、という点は覚えておきましょう。
一方、四槓子については、
とされています。
三槓子のQ&Aと総まとめ
最後に、三槓子まわりでよくある疑問を、実戦的な答えと一緒にまとめます。
Q1. 三槓子って、覚える必要ある?
A. ルールとしては知っておいた方がよいですが、「まず覚えるべき役」ではありません。
役の優先度としては、リーチ・タンヤオ・役牌・ピンフ・トイトイ・三色あたりを押さえた後で十分です。
ただし、カンのリスク理解のために、三槓子の条件くらいは知っておくと役立ちます。
Q2. メンゼンからの大明槓は本当に損?
A. 原則として損です。
特に、リーチをかけられる手なら、リーチ+裏ドラ期待の方が期待値は高くなります。
大明槓をすると、
にとどまることが多く、割に合いません。
Q3. 例外的に大明槓していい場面は?
A. 代表的には次のようなケースです。
- オーラスで、逆転条件がカンをすることで大きく緩和されるとき
→ たとえば、「現状の打点では届かないが、ドラが1枚でも乗れば逆転できる」という場面です。 - どうせ後で鳴くことが確定している手のとき
→ 最初から門前の価値が低く、速度優先で鳴いて進める手です。
この場合は「メンゼンを守る」という発想自体が不要になるため、ドラ・符増加のメリットを重視できます。
こうした局面からカンを重ねるうちに、結果として三槓子に届くこともあります。
Q4. ローカルルールで三槓子が役満になることがあるって本当?
A. はい、一部のローカルルールでは、難度の割に翻数が低いことから、三槓子を役満扱いにすることがあります。
同時に、四槓子をダブル役満とするケースもあります。

三槓子は「ロマン役」だよ。勝ちを重視するなら、カンはあくまで点数条件や速度に必要なときだけ行って、三槓子は結果としてついてきたら嬉しいおまけ、と思うくらいが丁度いいよ。
三槓子の総括と実戦での活かし方

ここまでの内容を踏まえ、実戦で三槓子とどう付き合うかを整理します。
最後に、要点をチェックリスト形式で振り返りましょう。
💡この記事で押さえておきたい混老頭の要点:

三槓子は、ルールとして知っておけば十分で、「積極的に狙う役」ではないよ。カンの判断軸(ドラ・点数条件・守備力)を身につけておけば、三槓子はその延長線上で自然に理解できるようになるよ。

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