麻雀の「一発」は、リーチに付くボーナスのような1翻役です。
偶然役ではありますが、データを見るとリーチの約5回に1回は一発が付くと言われるくらい、実戦でよく登場します。
一方で、「いつ付いて」「いつ消えるのか」「一発消しはどこまでやるべきか」があいまいなままだと、知らないうちに損をしてしまいます。
この記事では、一発の成立条件から確率データ、実戦での狙い方と守り方まで、一発まわりを丸ごと整理します。
💡この記事で理解できるポイント
- 一発の正式な定義・成立条件・消える条件
- 一発の点数的な価値と、どれくらいの頻度で出る役なのか
- 自分の一発を取りやすくするリーチ判断と待ち作りのコツ
- 相手の一発を消すべき場面・避けるべき場面の具体的な考え方
麻雀の一発の基本(成立条件・確率等)と重要性

まずは、一発という役の「仕様」を正しく押さえます。
ここがあいまいだと、戦術の話をしてもズレてしまいます。
一発の定義と成立条件

一発は、ルールさえ分かればとてもシンプルです。
「リーチ後1巡以内に和了したときに付く1翻役」が基本定義です。
もう少し細かく分けると、次のようになります。
一発の概要
- 翻数:1翻
- 区分:偶然役
- 鳴き可否:リーチが前提のため、鳴き手では絶対に不成立。
一発の条件
- 自分が「リーチ」または「ダブルリーチ」を宣言している
- リーチ後、自分の番が1巡してくるまでに誰も鳴かずに和了する
ここで大事なのは、一発は必ずリーチ(またはダブルリーチ)とセットで付くという点です。
一発だけでアガることはなく、最低でも「リーチ+一発」の2翻スタートになります。
たとえば、子でリーチのみだとロン1300点ですが、リーチ一発になると2600点になり、点数が倍近く変わります。
裏ドラや他の役が乗ると、さらに差は大きくなります。
一発が消える具体的条件
一発は「リーチ後1巡以内の和了」で付きますが、その途中で誰かが鳴きや槓をすると、一発の権利が消えます。
消えるタイミングと対象を整理すると、次のようになります。
一発の権利がある範囲
- 自分がリーチ宣言をした直後から
- 卓を一周して、次の自分のツモ巡までに和了できれば一発が成立
一発が消える条件
- 上の範囲の途中で、誰かが次の行為をした瞬間に一発は消えます。
- ポン
- チー
- カン(暗槓/明槓/加槓)
※ルールによっては、暗槓だけは一発が消えない、などのローカルもあります。
対局前にルール説明をよく確認しておきましょう。
一発の点数と出現確率
一発は1翻ですが、リーチと必ず複合するため、実戦では「リーチとセットで実質2翻以上」という感覚で考えると分かりやすいです。
- リーチのみ:1翻
- リーチ+一発:2翻
- リーチ+一発+ツモ:3翻
- リーチ+一発+裏ドラ1枚:3翻
たとえば子の1300点クラスだった手が、一発と裏ドラで満貫(8000点)に届く、というケースも珍しくありません。
そのため、「たかが1翻」と軽く見ることはできません。
オンライン麻雀の統計から出現確率データも見ておきましょう。
- 全ての和了のうち、一発が付いている割合:およそ8〜10%前後
- リーチのうち、一発が付く割合:およそ18〜22%
→ リーチ4〜5回に1回は一発付きでアガっているイメージ
また、全役の中での頻度を比べると、一発は出現確率は比較的高い方です。
ドラなどを除けば、かなり上位の「よく見る役」です。
つまり一発は、
という位置づけと考えるのが自然です。

一発は「1翻の偶然役」だけど、頻度と打点への影響を考えると、ルールと消える条件を正確に知っておく価値は十分あるよ。
麻雀の一発を狙う思考と一発消し

ここからは、「どう打てば自分の一発を取りやすくなるか」「相手の一発をどうケアするか」という実戦的な話に入ります。
一発を意識したリーチ判断
前提として、一発は完全には狙えない偶然役です。
山の中身はランダムなので、「この打ち方なら必ず一発が付く」という方法は存在しません。
それでも、次の2点を意識することで、一発が付きやすい状況を作ることはできます。
①残りツモ数が少ないときのリーチ
- 終盤でテンパイし、少ない山に眠る牌を読めば、確率的には一発は相対的に成立しやすくなります。
- つまり、終盤なので、山にある牌がある程度分ければ、一発が付く割合は、序盤のより高くなりうるという考え方です。
②リーチ宣言牌を鳴かれにくくする工夫
- 一発が消されやすいタイミングは、リーチ直後の下家の手番です。
- リーチ宣言牌が明らかに鳴かれやすい牌だと、一発消しされやすくなります。
- 聴牌した瞬間に「宣言牌が鳴かれそう」と感じるなら、1巡だけダマにして、次のツモを宣言牌にしてからリーチする選択肢もあります。
この「1巡我慢リーチ」には、もちろんデメリットもあります。
その1巡で和了牌をツモってしまうと、本来取れたはずの一発ツモを逃してしまうからです。
まとめると、基本は素直に即リーチでよく、どうしても鳴かれそうな牌を宣言しそうなときだけ、少しだけ工夫するくらいの感覚がおすすめです。
一発を取りやすくする待ち作り
一発を取りやすくする一番の近道は、「いい待ちを作ること」です。
一発だから特別なことをする、というより、そもそものリーチ後の和了率を上げるイメージです。
意識したいポイントは次のようになります。
良形・多面張を目指す
相手から出やすい待ちを選ぶ
- 終盤で、ある筋の牌がまったく出ていないときは、その筋の両面待ちは出アガリしにくくなります。
- 逆に、周りの牌がすでに多く捨てられている待ちは、「残り枚数は少ないが、出やすい」こともあります。
- 一発は「1巡」という短いチャンスなので、誰かが切りそうな牌を待ちに残せると有利です。
単騎・シャボでの一発ロンも視野に入れる
- 七対子(チートイツ)や、比較的読まれにくいシャボ待ちは、相手の意外な牌から一発ロンになりやすい形です。
- 「良形リャンメン>シャボ>悪形」のように、総合的な和了率を意識しつつ、終盤なら単騎やシャボも選択肢になります。
一発は偶然役ですが、「いい形でリーチし続ける」打ち手の方が、長期的には一発の回数も増えます。
まずは良形へのこだわりを強くすることが、一発を取りやすくする一番の近道です。
※本記事の七対子やリーチなどの役の詳細が気になる方は、麻雀の役一覧をご参考ください
麻雀の一発消しの方法と代案
相手にリーチを打たれたとき、「一発だけは消したい」と感じる場面も多いと思います。
ここでは、一発を消す具体的な方法と、代わりに選びやすい行動を整理します。
一発消しの基本
- リーチ宣言牌、またはその後1巡以内に出た牌をポン・チー・カンする。
- 誰が鳴いても、リーチ者の一発権利はその瞬間に消えます。
- リーチ者本人がカンしても一発は消えるルールが多いです。
ここで注意したいのが、食い替え禁止です。
同じ面子を入れ替えるだけの鳴きは、ルール上NGとされることがよくあります。
典型的なNG例
自分の手に「

」があって、他家の「
」をチーして「
」を切る、など
一発消しの代わりに、次の選択肢も考えられます。
①ベタオリで一発放銃自体を避ける
- 安全牌を切って完全に降りることで、一発どころか放銃自体をほぼゼロに近づけられます。
- 自分の手が苦しく、逆転もいらない場面では、鳴いてまで一発を消すより、静かに降りる方が期待値が高いことが多いです。
②他家に鳴かせて一発を消してもらう
- 自分が比較的安全だと思う牌で、かつ他家が仕掛けそうな牌を切る。
- 他家がポン・チーしてくれれば、その時点で一発は消えます。
- ただし、その他家がすでに高い手でテンパイしていた場合、自分が放銃してしまうリスクがあります。
一発消しは強いテクニックに見えますが、鳴いたことで門前を崩し、自分の守備力も下げるという大きなデメリットがあります。
このあと詳しく触れますが、「一発のためだけに鳴くのは、長期的にはほぼ損」とする研究も多いです。

自分の一発は「いい形でリーチすること」で自然に増やし、相手の一発は「どうしても消したいときだけ鳴いて消す」くらいが、バランスの良いよ。
麻雀の一発における戦略判断

最後に、一発まわりの戦略を「期待値」と「点棒状況」という視点から整理します。
どこまで一発を気にするかは、局面によって大きく変わります。
一発消しの期待値と注意点
麻雀の研究書や統計では、「一発を消すためだけの鳴きはトータルではほぼ損」という結論がよく示されています。
その理由を、メリットとデメリットで整理します。
特に、まだ局の序盤〜中盤で、自分がイーシャンテン以上のときに安易に一発消しをすると、
という悪いバランスになりやすいです。
一発消しを検討してよい典型パターンは、次のような場面です。
- 自分の手がほぼ死んでいて、リーチや高打点の見込みがない
- 鳴いても手が進み、テンパイや一向聴にはなれる
- 鳴いたあとも、現物や筋などの安牌が十分に残っている
- 親の大きなリーチを、どうしても安く抑えたい点棒状況になっている
このように、「自分の手・守備力・点棒状況」の3つを満たしているときに限って、一発消しは有力になります。
点棒状況別の一発判断
同じ一発消しでも、オーラスやラス争いでは評価がまったく変わります。
ここでは代表的な考え方だけ押さえておきましょう。
①トップ目で守りたいとき
- 自分が大きくトップ目で、親や2着目からリーチが入ったとします。
- このとき、一発で満貫・跳満をツモられると、一気にトップから落ちることもあります。
- 自分の手が死んでいて鳴いてもほぼ手にならないなら、安牌が多くなければ、ベタオリして見送る方が安全です。
- 一方で、鳴けばすぐテンパイになり、安手でも先制でアガれそうなら、一発消しを兼ねて鳴く価値が出てきます。
②ラス回避が最優先のとき
- 雀魂の高段位や、順位点が重いルールでは、「ラス率を下げること」が何より大事です。
- この場合、「一発を消すことで手牌が短くなって、かえって自分が放銃してラスを引きやすくなる」なら、一発は消さない方が良いです。
- つまり、誰の一発を、誰のために消しているのかを意識することが重要です。
点棒状況に応じて、一発消しを選ぶかを考えると迷いにくくなります。
麻雀の一発に関するQ&A
最後に、一発まわりでよくある疑問をまとめつつ、本記事の内容を整理します。
Q1. 一発は必ず採用されているの?
いいえ。競技ルールや一部の大会では、「一発・裏ドラなし」というルールもあります。
対局前に、必ず一発の採用有無を確認しましょう。
Q2. 一発は鳴いていても付く?
付かず、面前リーチが前提です。途中で鳴いている手には一発は付きません。
Q3. 暗槓でも一発は消える?
多くのルールでは、暗槓・加槓を含めたすべての槓で一発は消えます。
ただし、ローカルで「暗槓では消えない」とする所もあるため、事前確認が必須です。
Q4. 一発と河底撈魚(ハイテイロン)は同時に付く?
理論上付きますが、タイミングの関係で、ふつうは同時には付きません。
一発はリーチ後1巡以内、ハイテイロンは最後の捨て牌でのロンなので、条件が重なりにくいからです。
Q5. 一発はどれくらい意識すべき?
まとめると、
- 自分の一発は「良形リーチを打ち続ける」ことで自然に増やす
- 相手の一発は、「どうしても消したい局面だけ鳴いて消す」
- それ以外では、一発のために打牌をゆがめないことが大事です。

「とりあえず一発消し」といった感覚で乱用すると、かえって期待値を失いやすくなるよ。
局面と点棒状況をセットで考える癖をつけよう!
麻雀の一発の総括と実戦指針

ここまでの内容を、実戦で使える指針としてまとめます。
💡麻雀の一発のまとめ:


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