九蓮宝燈は、麻雀をやっていれば一度はあこがれる特別な役満です。
ただ、「形はなんとなく知っているけれど、細かい条件はあやふや」という人も多いはずです。
この記事では、九蓮宝燈の牌姿・成立条件・純正との違いから、実戦での狙い方や確率、迷信までを一気に整理します。
難しい専門用語はできるだけ使わずに、実戦でそのまま役立つレベルまで落とし込んで解説していきます。
麻雀を始めたばかりの方向けに幅広くかつ深く解説しているため、ぜひ最後までご覧ください!
💡この記事で理解できるポイント
- 九蓮宝燈と純正九蓮宝燈の定義・牌姿・役満としての位置づけ
- 門前・清一色・暗槓の扱いなど、成立条件とNG行為の具体的な内容
- どんな配牌・ツモので九蓮を意識し、どこで清一色に切り替えるかの実戦判断
- 他の役満との比較、出現確率、迷信などのトリビアまで含めた総合的な知識
九蓮宝燈の基礎知識(成立条件・鳴き可否・点数・読み方)

まずは「そもそも九蓮宝燈とは何か」を整理します。
名前、形、役満としての位置づけを押さえておくと、後の細かいルールも理解しやすくなります。
九蓮宝燈とは何か?成立条件と読み方

九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう/きゅうれんほうとう)は、日本のリーチ麻雀における役満の一つです。
「九蓮」「九蓮宝灯」と書かれることもあります。
- 読み方:ちゅうれんぽうとう(公式・一般的)
- 別名:天衣無縫(てんいむほう)
- 英語名:Nine Gates, Heaven’s Door など
という特徴を持っています。
具体的な和了形は、下記のような形です












+同色1枚
※萬子を例にしていますが、筒子や索子でも成立します。
※萬子を例にしていますが、筒子や索子でも成立します。
また、九蓮宝燈は面前限定の役であるため、鳴いた場合は成立しません。
そのため、成立条件は厳しく、出現確率は0.0005%程度です。
見た目のインパクトと難しさから「もっとも美しい役満」と言われることもあり、出現確率が非常に低いため、「アガれば死ぬ」という迷信まで生まれました。
もちろん迷信なので安心してください。
牌姿と基本形のパターン
九蓮宝燈の基本形は、どの入門書でも












+同色1枚
※萬子を例にしていますが、筒子や索子でも成立します。
と説明されます。
もう少し噛み砕くと、次のようになります。
- 同じ色の「1」と「9」をそれぞれ3枚以上
- 同じ色の「2〜8」を1枚ずつ
- 合計13枚の形に、さらに同じ色のどれか1枚を足して14枚で和了
筒子(ピンズ)や索子(ソウズ)でも、形はまったく同じ考え方です。
色だけが変わると思ってください。
面前で最終形が上記の条件を満たしていればすべて九蓮宝燈です。
門前役満としての位置づけ
九蓮宝燈は門前限定の役満です。
つまり、チー・ポン・明槓を一度でもすると、その局では九蓮宝燈は成立しません。
役の分類としては、次のような立ち位置になります。
- 形で決まる役満:
九蓮宝燈、国士無双、四暗刻、大三元、四喜和、字一色、清老頭、緑一色、四槓子 など - タイミングで決まる役満:
天和(親の配牌+第一ツモ)、地和(子が第一ツモで和了)など
九蓮宝燈は前者であり、「清一色+超限定形」の役満です。
そのため、他の形役満と複合する余地はほぼなく、複合しうるのは天和・地和などのタイミング系役満だけと考えて問題ありません。

九蓮宝燈は「清一色の超進化版」とイメージすると理解しやすいよ。
まずは「1112345678999+同種1枚」という基本形だけ、しっかり頭に入れておこう。
九蓮宝燈の条件と純正九蓮宝燈との違い

ここでは「成立条件」と「ダメな行為」、そして純正九蓮や色のルールなど、実際の裁定で迷いやすいポイントをまとめます。
成立条件とNG行為
九蓮宝燈の共通ルールは、おおむね以下の通りです。
- 萬子・筒子・索子のどれか1色だけ
- 字牌(東南西北白發中)は一切使わない
- 和了形が1112345678999+同種1枚
- 門前限定(チー・ポン・明槓は不成立)
- 多くのルールで、暗槓もNGとされる
暗槓については少しややこしいので補足します。
リーチ後に1や9をツモって暗槓すると、九蓮宝燈の頂点である「1112345678999」の構成が壊れてしまいます。
そのため、多くのルール解説では
九蓮宝燈を狙っている・または成立しうる場面での暗槓は禁止(=九蓮が消える)
とみなします。
ですが、一般的なフリー雀荘やオンラインでは、九蓮を意識したら暗槓はしないと覚えておくのが安全です。
純正九蓮宝燈との違い
純正九蓮宝燈(九門張・じゅんせいちゅうれん)は、九蓮宝燈の中でも特別なパターンです。
定義を一言で言うと、

- テンパイ形が上記の形で、同色の1〜9すべてが待ちになっている9面待ち
- 筒子・索子でも上記テンパイ形を満たせば成立する
待ちの種類は9種、待ち枚数は理論上23枚(同色36枚 − 手牌13枚)になり、
国士無双13面待ちに匹敵する巨大な待ちです。
点数扱いはルールによって分かれます。
| ルール例 | 九蓮宝燈 | 純正九蓮宝燈(九門張) |
|---|---|---|
| 一般的なフリー雀荘 | どちらも役満 | どちらも単独役満 |
| 一部団体・ローカル | 役満 | ダブル役満 |
| 一部中国由来ルール | 九門張のみ九蓮扱い | 九門張以外は九蓮と認めない |
オンライン麻雀でも、
- 通常九蓮=役満
- 純正九蓮=ダブル役満
と分けるサービスがあります。
天鳳や雀魂など、遊ぶサービスごとにルール説明を事前に確認しておきましょう。
萬子限定説と色の誤解
結論から言うと、九蓮宝燈は萬子・筒子・索子のどれでも成立します。
「萬子限定」はローカルルール、もしくは一部ゲーム内だけの取り決めです。
なぜ「萬子限定」というイメージが広がったのかには、いくつか背景があります。
- 入門書などで、例示がほぼ萬子だった
- 昔のアーケードゲームや家庭用ゲームで「萬子限定九蓮」を採用していた
- 索子には緑一色、筒子には大車輪などのローカル役満があり、「住み分け」のように語られた
ただし、公式なルールブックや主要団体では、色を限定しない九蓮宝燈が一般的です。
フリー雀荘、Mリーグルール、多くのオンライン麻雀でも、色は不問になっています。

「九蓮は萬子だけ」と思い込んでいる人は意外と多いよ。
初めて筒子や索子で九蓮形になっても、きちんと申告できるよう「どの色でもOK」と覚えよう。
九蓮宝燈の狙い方と実戦判断

この章では、「実際にどういう手から九蓮宝燈を狙えるのか」「どこまで追うか」の戦術面を解説します。
狙える配牌と入口形
九蓮宝燈は、意識しても簡単に作れる役ではありません。
多くの場合、「清一色を狙っていたら、気づいたら九蓮の形に近づいていた」という流れになります。
九蓮を意識し始める入口パターンの例を挙げます。
- 1・9が多く、同じ色に偏った配牌をもらったとき
この時点で「清一色本命、うまくいけば九蓮も」と意識する - 清一色を進める中で1・9が先に重なったとき
真ん中の牌を安易に捨てず、「1112345678999」に近づける意識を持つ - 中張牌(2〜8)が一通りそろってきたとき
九蓮の「土台」が見える状態なので、少し無理しても残す価値が出てくる
ただし、どんなに入口が良くても、局面や点棒状況が苦しいときに無理に追うのは危険です。
基本は「清一色で十分満足な場面かどうか」を先に考え、そのうえで余裕があれば九蓮も視野に入れる、くらいの感覚が現実的です。
清一色との兼ね合い
九蓮宝燈は、ほぼすべてのケースで清一色(チンイツ)からの派生です。
そのため、実戦では次のような選択を迫られます。
- 安全に清一色や混一色の満貫〜倍満でアガるか
- 無理気味に手を伸ばして九蓮宝燈役満を追うか
判断のポイントは次のようになります。
- 自分が大きく負けているか(トップとの差が大きいか)
- 残り局数が少ないか(この局で逆転したいか)
- 他家の攻撃が激しいか(押し引きがシビアな場面か)
- 場に出ているその色の牌の枚数(山にどれだけ残っていそうか)
たとえば、東場の親番で、まだ点数に余裕があるなら、
清一色確定の手を、あえて崩さず九蓮も視野に残す
という選択は十分ありです。
逆に、オーラスでリーチや仕掛けが飛び交う中で、無理に九蓮を追いかけるのはリスクが高すぎます。
「清一色として十分に高いなら、そこで満足する勇気」も大切です。
テンパイ時の待ち判断
九蓮宝燈でややこしいのが、「テンパイ時の待ちと、アガリ牌による成立・不成立」です。
ポイントは次の2つです。
純正九蓮の場合
非純正テンパイの場合
たとえば萬子清一色で、次のようなテンパイを考えます。

待ち:


ここで、
でアガると、九蓮宝燈は成立
でアガると、九蓮宝燈は不成立
といった具合に、九蓮宝燈にならないアガリは意外と多いです。
実戦での考え方としては、
- テンパイ時に「1112345678999」の形が見えているか
- その形に1〜9すべてが含まれているか
- アガリ後の14枚が「1と9は3枚以上」「2〜8は少なくとも1枚ずつ」を満たすか
をざっくりと確認するクセをつけると良いです。

純正形でテンパイしていれば「何を引いても九蓮」と覚えておけば十分。
それ以外の場面では、「高目だけ九蓮」「一部はただの清一色」ということが多いから気を付けてね。
九蓮宝燈と他役満・豆知識

ここからは、九蓮宝燈を他の役満と比べたり、確率や迷信といったトリビアの面から眺めてみます。
他の役満との比較
九蓮宝燈は、形・難易度ともに国士無双とよく比較されます。
ざっくりした比較をまとめると、次のようになります。
| 役満 | 特徴 | 形の自由度 | 難易度イメージ |
|---|---|---|---|
| 九蓮宝燈 | 同色1〜9すべて+1・9多め | 極端に低い | 役満の中でも最難級 |
| 国士無双 | 1・9と字牌の一種ずつ+トイツ | そこそこ | 九蓮よりは現実的 |
| 四暗刻 | 面子4組すべて暗刻+頭 | 高め | リーチ麻雀でよく出る |
| 大三元 | 白發中の3つをすべて刻子 | 中 | 仕掛けでも作れる |
| 大四喜 | 東南西北の4つを刻子 | 中 | 字牌配牌次第 |
- 九蓮宝燈は清一色ベースで門前限定のため、「配牌よツモ運もかなり必要」
- 国士無双は字牌・1・9が多い配牌なら、比較的形になりやすい
という点で、「国士は狙える役満、九蓮は降ってくる役満」と表現されることもあります。
また、他役満との複合に関しては、
- 形が限定されすぎているため、他の形役満とはほぼ複合しない
- 天和・地和のような「タイミング系役満」とは複合可能
という点も特徴的です。
他の役については、麻雀の役一覧をご覧いただくと理解できますので、役を覚えきれていない方は活用ください。
九蓮宝燈の迷信と物語
九蓮宝燈には、有名な迷信があります。
「九蓮宝燈を和了した者は死ぬ」
「人生の運をすべて使い切るほどの役だから」という発想から生まれたと言われています。
特に有名なのが、阿佐田哲也の小説『麻雀放浪記』です。
物語の中で、重要人物が九蓮宝燈を和了した直後に亡くなる場面があり、
1984年公開の映画版でもハイライトシーンとして描かれました。
これが「九蓮=死」というイメージを強く広めたと言われます。
一方で、中国麻雀では九蓮宝燈は最高点の吉兆役として扱われることが多く、
- 88点役としてトップクラスの価値
- 地域によっては縁起が良い/悪いの両方の説がある
といった文化的な広がりもあります。
また、プロ雀士の小島武夫が生涯で5回も九蓮宝燈を和了した話は有名で、そのうち1回は「公式記録に残る日本初の九蓮宝燈」とされています。
このようなエピソードも相まって、九蓮宝燈は「ドラマを生む役」として、漫画・アニメ・映画で頻繁に登場しています。

九蓮宝燈はかなりレアな役だから、「上がれたら一生の自慢」と思って、目指すのもアリだね!
九蓮宝燈に関するQ&A

ここでは、ルールブックを読んでも分かりにくい「細かい疑問」をQ&A形式で整理します。
よくあるルールの疑問
Q1. 九蓮宝燈は鳴いてもいいですか?
A. いいえ。一度でもチー・ポン・明槓をすると九蓮宝燈は不成立です。
門前限定役なので、リーチをかける・かけないにかかわらず、副露した時点でアウトになります。
Q2. 暗槓はダメですか?
A. 多くのルールではNG扱いです。
理由は、1や9を暗槓すると「1112345678999」の形を作るための枚数条件を満たせなくなるからです。
「リーチ後に役が消えてもよい」と明記している特殊ルールでのみ、暗槓OKの可能性がありますが、一般的ではありません。
Q3. 他の役満と複合しますか?
A. 形役満とは複合しません。
複合しうるのは、
- 天和(親の配牌+第一ツモでの和了)
- 地和(子が誰も鳴く前の第一ツモでの和了)
といったタイミング系役満のみです。
「配牌+第一ツモで九蓮宝燈完成」のような非常にレアな状況では、ルールが許せば九蓮+天和/地和のダブル役満になります。
Q4. 九蓮宝燈が採用されていないルールもありますか?
A. はい、まれにあります。
特殊ルールや古いローカルでは、九蓮を採用せず「清一色扱い」することもあります。
フリー雀荘や大会では、ルール説明で役満一覧を必ず確認しておきましょう。
ローカル役満との違い
九蓮宝燈と関連するローカル役に「七連宝燈」「八連宝燈」があります。
簡単に特徴をまとめます。
七連宝燈:
- 同じ色で、2種類の牌を4枚ずつ使っている形
- 「自分の手牌で使っている13枚を除いた同色牌すべて」が待ちになる9面待ち
八連宝燈:
- 同じ色で、1種類の牌を4枚使っている形
- 同じく残りの同色牌がすべて待ちになる9面待ち
ただし、一般的なリーチ麻雀では、
- 七連宝燈・八連宝燈を特別な役として扱わない
- 単に「門前清一色の高得点手」として処理する
のが普通です。
また、
- 大車輪(筒子の2〜8のみで構成)
- 百万石(萬子の特定の構成)
などもローカル役満として扱われることがありますが、これらも場によって採用・不採用が分かれます。
公式戦やフリーでは、ローカル役満は基本的に存在しないと考えておくのが安全です。
オンライン麻雀での扱い
オンライン麻雀では、サービスごとに九蓮宝燈の扱いが微妙に違う場合があります。
主な違いは次の点です。
たとえば、
- あるサービスでは「九蓮=役満、純正九蓮=ダブル役満」
- 別のサービスでは「九蓮も純正九蓮もすべて単独役満」
という具合です。
また、オンラインでは和了履歴やリプレイを簡単に残せるため、九蓮宝燈を上がったときにスクリーンショットを撮ってSNSに投稿する人も多く見られます。
自分がよく遊ぶアプリ・サービスの「役一覧」「ルール説明」を一度チェックしておくと安心です。

九蓮宝燈まわりのルールは、「フリー雀荘」「競技団体」「オンライン」でかなり違うことがるよ。
特に純正九蓮の扱いは事前チェックしてね!
九蓮宝燈の総まとめ

この記事の最後に、九蓮宝燈のポイントを整理し、「実戦でどう意識するか」「どう楽しむか」をまとめます。
要点の振り返り

基本形「1112345678999+同種1枚」を覚えておけば、牌姿の判定はグッと楽になります。
また、純正九蓮宝燈はテンパイ時点で「1112345678999」になっており、9面待ちになる特別な形であることも押さえておきましょう。
実戦で意識したい点
実戦で九蓮宝燈を意識するのは、
- 同じ色に大きく偏った配牌やツモをもらったとき
- 1・9が早い段階で重なり、中張牌もそろってきたとき
が中心です。
ただし、無理に九蓮を狙いすぎて和了を逃すと、局収支は大きく悪化します。
次のような考え方を軸にすると、バランスが取りやすくなります。
テンパイ時には、
- 純正テンパイなら、どの牌でも九蓮確定
- 非純正テンパイでは、「一部だけ九蓮になる待ち」が混ざる
という点も頭に入れて、アガリ牌による点数差を意識できると、より一段上の楽しみ方ができます。
九蓮宝燈を楽しむ視点
最後に、九蓮宝燈を「怖がらずに楽しむ」ための視点をまとめます。
- 役満の中でもトップクラスにレアな役なので、狙うというより、来たら全力で受け止めるくらいの姿勢がちょうどよい
- 一度上がれたら、スクリーンショットや牌譜を残しておくと、良い思い出になる
- 迷信や小説・漫画のエピソードを知っておくと、卓上の会話も盛り上がる
- 普段の練習では、清一色や手作りの感覚を磨くことが、結果的に九蓮に近づく一番の近道
九蓮宝燈は、知っているだけでも麻雀が少し楽しくなる役です。
形や条件をしっかり整理しておけば、いつか自分の手に舞い込んできたとき、迷わず堂々と「九蓮宝燈!」と言えるはずです。
💡九蓮宝燈のまとめ:


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