清老頭(チンロウトウ)は、麻雀の中でもかなり珍しい役満です。
老頭牌(1・9牌)だけで作るシンプルな形ですが、実戦で完成させるのは簡単ではありません。
この記事では、清老頭の正しい条件(字牌の利用可否・鳴き可否等)や牌姿から、狙い方・やめどき、他の役満との比較、守り方までを一気に整理します。
💡この記事で理解できるポイント
- 清老頭の成立条件(使える牌・形・待ちの種類)を正確に理解できる
- 清老頭の和了形イメージと「ならない形」の線引きが分かる
- 実戦で清老頭を狙う配牌・局面、進め方・鳴き判断のコツが身につく
- 混老頭・字一色・国士無双・中国麻雀での清幺九などとの違いを整理できる
清老頭とは?成立条件(字牌の利用可否、鳴き可否等)と確率

まずは清老頭の定義と基本条件をおさえます。
「どの牌が使えて、どんな形なら成立するのか」をはっきりさせることが、狙い方や読みにつながります。
清老頭とは何か

清老頭は、老頭牌(1・9牌)だけで作るトイトイ系の役満です。
老頭牌とは、数牌の1と9のことを指します。条件が厳しいこともあり、清老頭の出現確率は約0.001%とかなりレアです。
使える牌は次の6種類だけです。
字牌(





)は一枚でも入ると清老頭にはなりません。
中張牌(2〜8)ももちろん1枚でも入ればアウトです。
なので成立条件は次の通りです。
- 4面子+1雀頭の、通常の和了形
- 4面子1雀頭を老頭牌(1・9牌)のみで構成
つまり、「老頭牌だけの対々和+役満」と考えると分かりやすいです。
なお、清老頭は役満なので、翻数は通常ルールでは「役満1つ分」として扱われます。
使える牌と形の条件
清老頭の最大のポイントは、牌種が6種類しかないことです。
そのため、形の自由度がかなり低くなります。
条件を整理すると次のようになります。
たとえば次のような形は、条件を満たします。

どちらも、老頭牌だけで4刻子+1雀頭になっているので清老頭です。
注意したいのは、字牌が1枚でも入ったらその時点で不成立という点です。
混老頭や字一色とごっちゃにしないように、まず「老頭牌6種だけ」という条件を強く意識しましょう。
待ち形と和了パターン
清老頭はすべて刻子系の手なので、待ち形はかなり限定されます。
使える代表的な待ちは次の2つです。
- シャボ待ち
- 単騎待ち
順子を含まないため、リャンメンやカンチャン、ペンチャンといった形にはなりません。
シャボ待ちの例を見てみます。

この形だと、
がそれぞれ対子です。
か
をツモるかロンすれば、そのどちらかが刻子になり、もう一方が雀頭になります。
この形がシャンポン待ちです。
単騎待ちの例は次の通りです。

ここでは
が1枚だけ余っています。
を1枚持っていて、もう1枚を待つ形が単騎待ちです。
引けば
が雀頭になり、清老頭完成です。
役の性質上、清老頭のテンパイは必ずシャンポンか単騎になります。
「老頭牌でリャンメン待ち」は存在しないので覚えておきましょう。

清老頭の条件は「老頭牌6種だけ」「4刻子+1雀頭」「順子なし」の3点。
ここを最初にしっかり押さえると、この後の牌姿例や狙い方もスムーズに理解できるよ。
清老頭の牌姿と例

ここでは、具体的な牌姿で清老頭をイメージしやすくしていきます。
「これは清老頭になる」「これはならない」という線を自分の中にはっきり作っておきましょう。
代表的な和了牌姿
まずは、分かりやすい清老頭の完成形をいくつか見てみます。
例1:全部1・9牌でそろえた形

萬子・筒子・索子すべてを使っていますが、どれも1・9だけです。
混ざり方に制限はなく、老頭牌だけで構成されていればOKです。
例3:槓子を含む形

槓子があっても、刻子と同じ扱いです。
この形も清老頭として役満になります。
清老頭にならない形
次に、よく間違えやすい「清老頭にはならない」例を確認します。
例1:字牌が混ざっている

清老頭は字牌が1枚でも入った時点で不成立です。
「老頭牌+字牌だけ」なので混老頭という役にはなります。
また全て刻子なので対々和もつきます。
なので、この形は混老頭(2翻)+対々和などで数えます。
例2:中張牌が入っている

は中張牌です。
老頭牌以外が1枚でも入った時点で清老頭ではありません。
例3:七対子の形
理論上は「老頭牌だけの七対子」も作れそうに見えますが、通常ルールでは七対子と清老頭は両立しません。
七対子は「7種類の対子」が必要ですが、老頭牌は6種類しかないからです。
※後のQ&Aで詳しく解説します。
単騎待ちとシャンポン
清老頭のテンパイ形は、実戦ではほとんどが「鳴き手」です。
それぞれの待ち方のイメージを見ておきます。
シャンポン待ちの例

ここまで鳴いていると、場から見てもかなり「清老頭っぽい手」になります。
この形では一索か九索のどちらかで和了できます。
どちらをツモっても、その牌が刻子になり、もう一方が雀頭です。
単騎待ちの例

ここまでくると、場から見ても清老頭の可能性が高いです。
単騎待ちは読まれやすいですが、山に残っていればツモの可能性があります。
ポイントとして、清老頭の待ちは場に出ていない老頭牌ほど危険になります。
これが、後で解説する「他家防御」の考え方にもつながります。

実戦で迷った時は「老頭牌だけか?」「4刻子+1雀頭か?」の2点チェックをすると、清老頭かどうかを素早く判断できるよ。
特に字牌は清老頭に使えないから気を付けてね。
清老頭の狙い方と鳴き判断

ここからは、実戦で清老頭をどう狙うか、具体的な考え方を整理します。
「最初から清老頭だけを狙う」というより、国士や純チャンとの天秤をかける発想が大切です。
狙うべき配牌と局面
清老頭は、狙える局面がかなり限られる役満です。
無理に狙うとほとんど和了できず、逆に大きな失点を招きます。
清老頭を本気で視野に入れていい配牌・途中経過は、次のような条件がそろったときです。
具体的には、次のような配牌です。

このように、老頭牌の対子が多く、種類も4〜5種類にまたがっているときは、清老頭の目があります。
ここから中張牌や字牌を切りながら、国士無双や純チャンとの比較をしていく形になります。
清老頭への進め方手順
狙うと決めたら、手順はシンプルです。
基本の流れは次の3ステップです。
- 中張牌と字牌を整理する
- 老頭牌の対子・刻子を大事に持つ
- ポン・カンで面子を固めながらテンパイ形へ近づける
最初は、2〜8の数牌や使いづらそうな字牌から切っていきます。
ただし、この時点ではまだ「国士無双での13面待ち」「純チャンに変化」などもありえるため、完全に清老頭一本に決め切らないことも大切です。
たとえば、次のような途中形を考えてみます。

ここまでくると、国士よりも清老頭の方が現実的になってきます。
老頭牌だけで4刻子+1雀頭が見えているので、もう清老頭に決め打ちしてよい段階です。
以降は、老頭牌以外が来てもすべて切り、ポンやカンを積極的に使ってスピードを上げていきます。
清老頭を狙う進め方として、大事なのは他の役も狙いながら、清老頭も狙うという手順です。
なので、他の役を知ることは重要であるため、勝てる雀士になりたければ、ぜひ麻雀役の一覧をご参考ください。
鳴き判断とスピード管理
清老頭は「鳴き可役満」です。
ポン・カンを使ってスピードを出せるのが大きな強みですが、そのぶん手がバレやすいという弱点もあります。
鳴き判断のポイントは次の通りです。
- 点棒状況的に攻めたいとき
→ ポン・カンを優先してスピード重視 - まだ局が早い・点差に余裕があるとき
→ ある程度鳴いてよい - オーラスでトップ目や2着目をキープしたいとき
→ 無理に役満を追わず、鳴きを控えて撤退も考える
また、早い巡目から老頭牌をポンし過ぎると、他家にすぐ役満を警戒されます。
相手が明らかに降りてしまうと、出和了りはほぼ望めず、ツモ頼みになります。
そのため、
といったバランス感覚も重要になります。

清老頭は「狙える配牌」「鳴いて速度アップできる局面」がそろって初めて狙える役だよ。
無理に全局で追う役ではないので、他役と天秤にかけて狙うためにもまずは他役を覚えよう。
麻雀を覚えたい方は、麻雀役の一覧をご参考ください。
清老頭と他役との比較(混老頭等)と応用

ここでは、清老頭と似た役との違いを整理します。
混老頭や字一色、国士無双などの位置づけを理解しておくと、実戦での選択や守り方が分かりやすくなります。
清老頭と混老頭の違い
清老頭とよく混同されるのが「混老頭(ホンロウトウ)」です。
それぞれの条件を表で整理します。
| 役名 | 使用牌 | 面子の形 | 翻数 | 鳴き |
|---|---|---|---|---|
| 清老頭 | 1・9萬/筒/索のみ(6種) | 刻子/槓子のみ | 役満 | 可 |
| 混老頭 | 1・9萬/筒/索+字牌(計13種) | 基本は刻子系(順子不可) | 2翻 | 可 |
一番大きな違いは「字牌を使えるかどうか」と「翻数」です。
「老頭牌と字牌をただ集めているだけ」の段階では、まだ清老頭か混老頭かは決めなくてよいことも多いです。
途中で老頭牌の偏りが強くなってきたら、清老頭に切り替える、という柔軟さが大事です。
字一色や国士との比較
清老頭と同じく、牌種が絞られた役満と比較してみます。
これらと清老頭の違いを押さえると、「どこからどこへ乗り換えられるか」が見えてきます。
- 国士無双を狙っていて、老頭牌の対子が増えてきた
→ 字牌の種類が少なく、老頭牌対子が3〜4組見えてきたら、清老頭への切り替えも視野 - 純チャン(三色やメンゼン高打点)を狙っていて、老頭牌が刻子に寄ってきた
→ 順子が作りにくくなり、面子がほとんど刻子になってきたら、清老頭へシフトもあり
一方で字一色や緑一色は、使う牌がまったく違うため、途中から清老頭へ変えることは基本的にありません。
国士無双との選択は特に重要です。
序盤で1・9牌と字牌がバラバラにあるときは国士寄り、中盤で老頭牌だけが強く重なってきたら清老頭寄り、といった判断が必要になります。
他家が清老頭を狙っている時の対処法
他家が清老頭(または一色系役満)を狙っていると感じたとき、どう守るかも大切です。
清老頭を疑うサインは次のようなものです。
こうなっている相手には、一九牌を安易に切らないことが重要です。
特に危ないのは、
です。
これらは待ちとして残っている可能性が高いので、ベタ降りをするならまずここを止めます。
反対に、同じ1・9牌が3枚見えていれば、その牌は安全です。
場に3枚見えていて、相手のポンで1枚使われているなどの場合も、その種類での放銃はありません。

清老頭は自分で狙うより「他家が狙っているときの被害を減らす」ほうが、実戦ではずっと重要。
相手の捨て牌が中張牌だらけで一九牌が出てこないと感じたら、早めに意識して回し打とう。
清老頭に関するQ&A

ここでは、清老頭についてよくある疑問をQ&A形式で整理します。
七対子との関係や出現率、中国麻雀での扱いなど、細かい点まで確認しておきましょう。
この章で理解できること:
七対子清老頭は成立するか
結論から言うと、日本の一般的なルールでは「七対子・清老頭」は成立しません。
理由はシンプルで、七対子は「7種類の対子」が必要なのに、老頭牌は6種類しかないからです。
このため、理論上も純粋な七対子・清老頭は不可能という扱いです。
ただし、一部のローカルルールでは、
- 七対子の4枚使いルール:同じ牌4枚を「2つの対子」と見なして七対子を認める
という特殊ルールが存在します。
この場合に限り、

といった形で、七対子清老頭が成立しうることになります。
しかし、これは本当にごく一部のローカルルールです。
普通のルールではまず採用されていないので、実戦では「七対子・清老頭はない」と覚えておくのが安全です。
出現率と難易度の目安
清老頭は役満の中でもかなりレアな部類です。
正確な出現率はルールや打ち方で変わりますが、多くの統計では、
とされています。
実感としては、
と考えてよいでしょう。
難易度が高い理由は、
- 老頭牌6種類だけで4刻子+1雀頭を作る必要がある
- 鳴くと読まれやすく、ロン和了が難しくなり、ツモ頼みになりやすい
といった点です。
役満の中でも相当レアだが、まったく不可能というほどではない。
このくらいのイメージを持っておくとよいでしょう。
清老頭に関する総まとめ

ここまで、清老頭の条件から狙い方、他役との比較やQ&Aまで一通り見てきました。
最後に、実戦で役立つように要点を整理します。
清老頭の要点整理
清老頭について、特に大事なポイントをまとめます。
💡清老頭に関する要点:
このあたりを頭に入れておけば、「これは清老頭か?」「狙う価値があるか?」を素早く判断できます。
似た役満との使い分け
清老頭と関係の深い役を、どう使い分けるかも整理しておきましょう。
💡清老頭と関係の深い役:
重要なのは、序盤から役満一本に固執しないことです。
いつでも他の現実的な手役へ行き来できるように、選択肢を広く持っておきましょう。
実戦での活用指針
実戦で清老頭をどう扱うか、最後に指針としてまとめます。
💡清老頭の実戦での活用指針:
この記事で整理したポイントを意識しながら打てば、清老頭を自分でアガるチャンスも、他家からの役満放銃を防ぐ力も、どちらも少しずつ高まっていきます。

清老頭は決して「知識だけの飾り役」ではなく、条件がそろえば現実的に狙える役満だよ。
ただし、無理に追いかけると大きなリスクになるので、「配牌と局面が特別に良いときだけ全力で狙う」くらいのバランス感覚を持とう。






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