二盃口(リャンペーコー)は、知っているようで細かいルールがあいまいになりやすい役です。
とくに七対子や一盃口と形が似ているため、「どっちで数える?」「両方つく?」と迷いやすいところです。
この記事では、二盃口の定義から点数、七対子との関係、実戦での狙い方までを順番に整理します。
途中で対子手の分岐判断や、狙いすぎて事故るパターンも具体的に解説するので、読み終えるころには「二盃口で迷わない」状態を目指せます。
💡この記事で理解できるポイント
- 二盃口の正確な成立条件と、七対子・一盃口との形の違い
- 二盃口の翻数・点数と、七対子より高くなる理由
- 実戦で二盃口を狙うべき牌姿と、七対子への切り替えどき
- 他役との複合・ルール差・ローカル役との関係までをまとめた判断基準
二盃口の成立条件と確率などの基本情報

二盃口を正しく理解するためには、「役の意味」「牌姿のルール」「門前限定である理由」の3つを押さえることが大切です。
まずは定義をはっきりさせてから、七対子などとの違いを見ていきます。
二盃口の成立条件

二盃口の牌姿で一番大事なのは、中身が「順子4組+雀頭1組」になっていることです。
見た目は七対子のように「同じ牌が2枚ずつ7種類」になりますが、ここで混乱しやすくなります。
二盃口の成立条件は次の通りです。
実際の例を見てみましょう。
【二盃口の手牌例】



×2(1つ目の一盃口)

×2(2つ目の一盃口)
(雀頭)
この牌姿は、パッと見ると、「対子7組」で七対子にも見えます。
しかし、中身をよく見ると順子4組に分解できるので、七対子ではなく二盃口です。
ここで重要なポイントは下記でして、慣れないうちは意識しましょう。
また、二盃口は「面子手」なので、同じ牌4枚を使っていても問題ありません。
【4枚使いの二盃口の例】

上記のように、
を4枚使いながら
の雀頭と 

×2 の順子、という扱いで二盃口を作るケースもあります。
七対子では同じ牌4枚は基本的に認められないので、ここも違いの一つです。
役の意味と名前の由来
二盃口は、簡単に言うと「一盃口を2つ作った形」の役です。
まず一盃口(イーペイコー)を思い出しましょう。

一盃口とは「同じ色で、同じ並びの順子を2組そろえた形」です。
この「一盃口」が2セットある形が二盃口です。
【二盃口の手牌例】



×2(1つ目の一盃口)

×2(2つ目の一盃口)
(雀頭)
この手は、一盃口が2つあるので二盃口になります。
名前についても少し触れておきます。
どれも意味はほぼ同じで、「二つの盃口=一盃口が二つ」というイメージです。
門前限定となる理由
二盃口は、一盃口と同じで門前限定の役です。
ポン・チー・カンをすると、その時点で二盃口は消えます。
理由は大きく2つあります。
- 一盃口自体が門前限定の「形役」であり、それを2つ集めた役だから
- 鳴いてもよいとすると、難易度に対して点数が高すぎるため
もし鳴いても二盃口がつくルールだとしましょう。
たとえば、




を鳴きで作るのはそこまで難しくありません。
それを2色で作れば簡単に3翻がついてしまい、ゲームバランスが大きく崩れます。
そこで現在の一般的な日本ルールでは、
という扱いになっています。
※なお、「副露二盃口」のようなローカルルールを採用している団体はほとんどありません。
競技ルールではまず見ないと考えてよいです。

二盃口は「一盃口×2の門前役」「中身は順子4組+雀頭1組」という2点をまず押さえてね。見た目が七対子でも、順子に分解できるかどうかを毎回確認する癖をつけると、打点を取りこぼさなくなるよ。
二盃口の翻数と七対子との点数比較・複合可否

ここでは、二盃口の翻数と、七対子・一盃口との点数差を整理します。
「なぜ必ず七対子より高くなるのか」を理解すると、役の優先順位もはっきりします。
二盃口の翻数と基本点
現在の標準的な日本ルールでは、二盃口は門前限定・3翻役です。
一盃口が1翻なので、その2倍以上の価値がある役として扱われています。
役の格付けとしては、下のようなという位置づけです。
二盃口はそれ単体では「翻だけ」であり、符は別に計算します。
門前ロンで40符3翻、門前ツモで30符4翻(ツモ1翻付き)など、状況によって変わります。
ここで大事なのは、二盃口そのものには符がつかないという点です。
符は、下記の要素で決まります。
※点数計算の参考記事:「麻雀の点数計算の簡単な覚え方」
二盃口は順子だけで構成され、刻子がないため、符が低くなりやすいという特徴があります。
そのかわり、翻数(3翻)で点数を稼ぐ役と考えるとわかりやすいです。
二盃口と七対子の点数比較と複合可否
七対子と二盃口は、見た目が似ているのに点数の考え方がまったく違います。
まず七対子の基本を確認します。

要点は下記になります。
一方、二盃口は3翻役で、符は通常の面子手として計算されます。
ここでよくある疑問が、「二盃口って七対子より安くなることはあるの?」というものです。
結論から言うと、現代の一般的な点数体系では、二盃口が七対子より安くなることはありません。
これがルール設計の前提になっています。
具体的には、ドラや複合役がない場合、下記のようになります。
このように、七対子と二盃口が両方成立しそうな形でも「高点法」で必ず点数が高くなる二盃口が優先されます。
つまり、「七対子と二盃口が複合する」のではなく、常に高い方である二盃口として扱うということです。
一盃口と二盃口の翻数差
一盃口と二盃口は名前も形も近いですが、翻数と難易度は大きく違います。
一盃口は比較的よく出る1翻役で、平和とセットで「ピンフ+一盃口」として狙うことが多いです。
一方、二盃口は出現率がかなり低く、0.1%程度とされるほどのレア役です。
実戦的な考え方としては、
というスタンスが現実的です。
「一盃口を2つ集めたら3翻もらえる、おまけボーナス」くらいに考えておくと、狙いすぎを防げます。

七対子と二盃口が迷う場面では、「二盃口は必ず七対子より高い」という事実を思い出してみてね。そのうえで、点数だけでなく和了りやすさ(待ちの良さ)も合わせて判断するのが大切だよ。
二盃口の実戦的な狙い方(七対子との分岐判断など)

ルールを理解したら、次は「いつ狙うか」「どこでやめるか」です。
この章では、典型的な牌姿や七対子との分岐、待ち形の悪さへの対処を中心に解説します。
二盃口になりやすい牌姿
二盃口を現実的に狙えるのは、序盤から対子が多く、連続した数牌が固まっている手です。
具体的には、次のようなパターンです。
このような形では、二盃口と七対子の両方が自然に見えることが多いです。
大切なのは、どちらに寄せるかを早めに意識しておくことです。
七対子と二盃口の分岐判断
対子が増えてくると、ほぼ毎回のように下で迷うことになります。
- 七対子にするか
- 二盃口(+面子手)にするか
判断のポイントは主に3つです。
ざっくりとした目安は次のとおりです。
二盃口に寄せるべき場面
- 一盃口がほぼ確定していて、もう一組もかなり一盃口の形になっている
- メンタンピン(一盃口+平和+リーチ)になりそうな伸び方をしている
七対子に切り替えるべき場面
- 二盃口にするために「悪い待ち」になってしまう
- 対子は多いのに、連続した形が少なく、順子にしづらい
特に意識したいのは、「二盃口を狙うと待ちが悪くなるなら、七対子に逃げる」という発想です。
点数が高くても和了れなければ意味がないので、リーチが入っている場面ではなおさらです。
待ちの悪さとやめどき
二盃口を無理に狙うと、しばしばカンチャン待ち・ペンチャン待ちの実質単騎になりがちです。
【愚形待ちの二盃口】

他家に2枚以上切られていたり、河に多く見えている場合は、和了り率がかなり低いと考えた方がよいです。
やめどきの目安としては、
このような場面では、素直に七対子に切り替えて良形単騎を選ぶ方が実戦的です。

二盃口は、狙うときより「やめる決断」が難しい役だよ。対子手になったら、まずは七対子を基本にしつつ、「これは自然に二盃口にもなるな」と感じるときだけ、二盃口ボーナスを狙うくらいの感覚が良いよ。
二盃口と他役の複合・ルール差

二盃口は単体でも3翻ありますが、真価を発揮するのは他役との複合です。
ここでは、平和・清一色などとの相性、ルール差、中国麻雀との違いをまとめます。
二盃口と平和などの複合
二盃口は順子4面子でできる役なので、平和(ピンフ)と非常に相性が良いです。
条件を整理すると、どちらも順子を重視する役なので、自然と複合しやすくなります。
代表的な組み合わせは、「リーチ+平和+二盃口」でして、この形はドラが絡まなくても最低でも満貫になり、非常に強力です。
もちろん、実際にはドラも絡むことが多いので、さらに打点が伸びます。
また、手牌の形によっては下記になるケースもあります。
- 高目で二盃口+平和
- 安目だと一盃口+平和
【高目・安目がある二盃口の例】

※
だと高目、
だと安目
このような「高目取り」で打点を取りにいくのも、二盃口ならではの楽しさです。
他にも複合できる役があるため、他役も学びたい方は、麻雀の役一覧をご参考ください。
二盃口と清一色など高打点形
二盃口は清一色(チンイツ)・混一色(ホンイツ)との相性も抜群です。
これらの役は、「同じ色の数牌がたくさん必要」という点で共通しているからです。
これらが重なると、簡単に三倍満・数え役満クラスになります。
有名な例が「大車輪の牌姿を役満とせず、通常役として扱うケース」です。
【大車輪の手牌例】

筒子の 2〜8 だけで七対子を作る形は、ルールによって
のどちらかになります。
後者の場合、少なくとも11翻となり、三倍満(子で24000、親で36000)クラスの大物手になります。
- 清一色:6翻
- 二盃口:3翻
- 平和:1翻
- タンヤオ:1翻
と組み合わさることで、非常に高打点になる可能性を持つ役です。
「色が偏っていて、順子系でまとまりそうな対子手」が来たときは、こうした爆発パターンを意識できると、手の伸ばし方が変わります。
二盃口のルール差
二盃口は、日本で考案された比較的新しい役です。
そのため、ルールや時代によって扱いに差があることも知っておくと役に立ちます。
主な違いとしては、
などがあります。
現在の競技やネット麻雀では、ほぼ「門前3翻」で統一されているので、あまり気にしなくて構いません。

二盃口は、単体で見るより「平和・タンヤオ・清一色と組んだときにどこまで伸びるか」をセットで意識すると、手作りの方針がクリアになるよ。使うルールの翻数・採用有無は、対局前に一度だけ確認しておくと安心だよ。
二盃口に関するQ&A

ここでは、よくある疑問をQ&A形式で整理します。
七対子との関係、副露時の扱い、ローカル役との兼ね合いなど、誤解が多いポイントを中心に取り上げます。
七対子と複合しない理由
Q. 「対子7組の形」で、二盃口と七対子が両方つくことはありますか?
A. ありません。
二盃口と七対子が同時に成立することはなく、必ずどちらか一方だけが採用されます。
理由は2つあります。
- 二盃口は「面子手」、七対子は「特殊形」だから
- 点数計算上、二盃口の方が必ず高くなるように設計されているから
同じ牌姿でも、
として扱います。
そのうえで、両方の条件を満たしそうな場合でも、
となるため、高点法で二盃口だけを採用する、というルールになっています。
副露した二盃口はどうなるか
Q. ポンやチーをしていても、二盃口はつきますか?
A. つきません。
二盃口は門前限定役なので、ポン・チー・カンをした時点で消えます。
具体的には、
どちらも「鳴きでは成立しない」役です。
チーで同じ順子を2つそろえても、それは単なる順子2組であり、一盃口・二盃口とはみなされません。
※ネット麻雀や多くのルールで共通なので、「鳴いた時点で一盃口・二盃口は消える」と覚えておけば実戦上困ることはありません。
大車輪などローカル役との関係
Q. 大車輪の形は、二盃口とも数えられますか?
A. ルールによりますが、大車輪を役満としないルールでは、二盃口として扱われることがあります。
大車輪は、
をそろえた形で、七対子に似たローカル役満です。
この形は、内部的には
として解釈することができます。
したがって、
といった違いが生じます。
他にも、一色三順・三連刻などのローカル役と二盃口がからむ牌姿もありますが、競技ルールではほとんど採用されていません。

「七対子と二盃口が両方つく」「副露しても二盃口になる」といった勘違いはけっこう多いよ。対局前に一度、自分の打っているルールでの扱い(大車輪の有無など)を確認しておくと、混乱を防げるよ。
総括:二盃口を理解するための最終チェックリスト

最後に、記事全体の要点を振り返ります。
💡この記事で押さえておきたい二盃口の要点:
このチェックリストを意識しながら牌譜を見直したり、実戦で対子手に出会ったときに思い出してみてください。
二盃口を正しく理解しておくことは、「攻めるべき勝負手」と「妥協して和了る手」の見極めにも、必ず役に立ちます。


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