四暗刻は、麻雀の中でも比較的お目にかかりやすい役満です。
しかし「どんな待ちなら四暗刻なのか」「シャンポンでロンしたらどうなるのか」など、細かいルールで迷う人は多いです。
この記事では、四暗刻の成立条件・待ち形・裁定・戦術を一通り整理します。
実戦で迷いやすいシャンポン待ちやスッタン、リーチ判断までまとめて解説するので、一度読めば四暗刻まわりのモヤモヤがほぼなくなります。
💡この記事で理解できるポイント
- 四暗刻の正式な定義と、門前限定になる理由
- 成立する待ち形・しない待ち形(シャンポン・単騎・ロン/ツモ)の完全整理
- 対々和・三暗刻との分岐や、リーチ/ダマ判断など実戦での打ち方
- 四暗刻単騎(スッタン)・他役満との複合・Mリーグの実戦例までの総まとめ
四暗刻の基本と成立条件

まずは四暗刻そのものの定義と、門前条件・暗槓の扱いを整理します。
ここをきちんと理解しておくと、後の待ち形の説明もスムーズに入ってきます。
四暗刻とは?成立条件や確率などの基礎情報

四暗刻は、4つの暗刻(または暗槓)と1つの雀頭で構成される門前限定の役満です。
「暗刻」とは同じ牌3枚を、誰からもポンせず自分だけで集めた形のことです。
四暗刻のポイントは次の通りです。
つまり、「ポンして刻子を作った時点で、もう四暗刻は消える」ということです。
対々和(トイトイ)と見た目の形は同じですが、暗刻か明刻かが大きな違いになります。
四暗刻は、他の多くの役満と違い、萬子・筒子・索子・字牌のどれを使っても構いません。
清老頭のように「1と9だけ」などの縛りもなく、字一色のように「字牌だけ」という縛りもありません。
この「牌種の自由さ」が、四暗刻を役満の中でも比較的出やすい部類にしています。
四暗刻の出現確率は約0.04%から0.05%程度とされており、役満の中ではもっとも高いです。
形の要件と門前条件
四暗刻が成立するには、形だけでなく「門前であること」が重要です。
門前とは、ポン・チー・明槓を一度もしていない状態のことです。
四暗刻の形の要件を、あらためて整理します。
ここで大事なのは、「ポンしてできた刻子は暗刻ではなく明刻」という点です。

たとえば上記のように暗刻が3つあり、1つだけポンして作った明刻がある場合は、四暗刻ではなく三暗刻です。
門前条件があるため、スピードよりも手役の重さを優先する役と言えます。
他家からは捨て牌だけでは四暗刻だとは気づかれにくいので、見落とされて一気に役満が決まることも多いです。
暗刻と暗槓の扱い
暗槓は、同じ牌4枚を自分の手牌だけでそろえて槓した形です。
ルール上は「暗刻の延長」として扱われるため、暗槓を含んでも四暗刻は成立します。
ここでよくある疑問が次の2つです。
多くの一般ルールでは、暗槓は門前を崩さないとされています。
つまり、暗槓をしていてもリーチできますし、四暗刻の条件も満たします。
また、暗槓を4つ作っても、その4つがすべて自分のツモだけでそろっていれば、形としては「4つの暗刻が強化されたもの」です。
理論上は、四槓子(スーカンツ)と四暗刻が同時に成立するような超レアケースもあり得ます。
※リーチ後の暗槓や、待ちが変わる暗槓はチョンボになるローカルルールも多いので、詳しくは後半の注意点の章で説明します。

四暗刻は「刻子4組+頭1組」というシンプルな構造だけど、暗刻であること・門前であることの2つをセットで覚えると、対々和や三暗刻との違いが一気にクリアになるよ。「四暗刻と三暗刻の違い」の詳細も別記事にまとめているので、詳細を知りたい場合は読んでみてね!
四暗刻の待ち形(ツモり四暗刻・四暗刻単騎)と裁定

ここでは、四暗刻で一番ややこしい「待ち形」と「ロン/ツモの違い」を整理します。
特にシャンポン待ちの裁定をきちんと理解しておくと、実戦の判断ミスが減ります。
成立する待ち形の整理
四暗刻として正式に認められる待ち方は、次の2パターンだけです。
ここで使う用語は次の通りです。
- シャボ待ち:2つの対子があり、そのどちらかを3枚にすれば和了になる待ち
- 単騎待ち:雀頭になる1枚だけを待つ形
まず、①シャボ待ちのとき。
暗刻が3つできていて、残りの1面子+雀頭の部分が「対子+対子」になっているケースを考えます。
【①シャンポン待ちの手牌例】

この形は、
を引いて

にするか、
を引いて

にすればアガリです。
どちらも、暗刻4組+雀頭1組の形になります。
ただしこのとき、ツモなら四暗刻、ロンなら成立しないという大事なルールがあります。
理由は次の節で説明します。
一方で、②単騎待ちの場合です。
暗刻4組がすでに完成していて、雀頭になる1枚だけを待つ形を考えます。
【②単騎待ちの手牌例】

このときは、ツモでもロンでも四暗刻が確定します。
4つの暗刻はすでにそろっていて、最後の1枚は雀頭を作るだけなので、明刻にはなりません。
つまり、四暗刻として成立するかどうかは「暗刻が最終的に4つ揃うかどうか」で決まると覚えるとよいです。
シャボ待ちの四暗刻の扱い
四暗刻で一番間違えやすいのが、シャボ待ちのロン和了です。
結論としては、シャボ待ちのロンでは四暗刻はつきません。
理由はシンプルです。
シャボ待ちでロンしたとき、和了牌は他家から出た1枚なので、その面子は「明刻」扱いになるからです。
さきほどの例を使って説明します。

ここで、他家が
を切り、それをロンしてアガったとします。
このときは、

+
(他家の牌)=

(明刻)
となるので、暗刻は3組しかありません。
形としては「明刻1つ+暗刻3つ+雀頭」という構成です。
そのため、成立する役は主に次のようになります。
- 三暗刻(3組の暗刻)
- 対々和(すべて刻子構成)
- 他の役(ドラ・役牌など)+符計算
点数的には、三暗刻(2翻)+対々和(2翻)で合計4翻。
符は44符(切り上げで50符)くらいになることが多く、だいたい満貫クラスです。
一方、同じ形で5を自分でツモってきた場合はどうなるでしょうか。
このときは、手牌の5を3枚そろえて暗刻にできます。

+
(自分ツモ)=

(暗刻)
この場合は暗刻が4組になり、雀頭は88のままです。
つまりツモなら四暗刻(役満)、ロンなら三暗刻+トイトイ(満貫以上)という大きな差が生まれます。
この「ツモなら役満、ロンなら満貫」を、実戦ではツモり四暗刻(ツモスー)と呼びます。
「ロンなら対々和だし、それでも十分高いからリーチする」という判断もよくあります。
四暗刻ツモとロンの違い
ここまでの内容を、ツモとロンで具体的に整理してみます。
ポイントは、誰の牌で面子が完成したかです。
実戦でよくある場面として、「ツモり四暗刻でリーチして、出アガリでも満貫以上あるし、ツモれば役満で最高」というケースがあります。
リーチ棒・裏ドラ・一発などが絡めば、ロンでも倍満級になることもあり、リターンが非常に大きい待ちです。
四暗刻を狙うときは、まず
をはっきりさせてから、リーチ・ダマ・受け替えを考えるとミスが減ります。

シャボ待ちの場合、ツモだけが四暗刻になるというルールを、まずはしっかり覚えてね。「ツモったら役満、ロンでも十分高い」のがツモり四暗刻で、戦術的にもとても価値の高いテンパイだよ。
四暗刻の戦術と狙い方!トイトイ・三暗刻との違いなどを解説

ここからは、四暗刻を「どう狙うか」「どこで諦めるか」という実戦的な話に入ります。
対々和や三暗刻との分岐、リーチ判断もここで整理します。
四暗刻を意識する配牌
四暗刻は、最初から狙って作るというより、手を進める中で自然に見えてくる役満です。
特に次のような配牌や中盤の形では、四暗刻の可能性を少し意識してみましょう。
たとえば、配牌や序盤の手牌で

のように、対子+暗刻だらけの手が来たとします。
このときは、順子を無理に作ろうとせず、刻子を増やすイメージで手を進めると、自然と四暗刻や対々和が視野に入ってきます。
ただし、四暗刻だけを追いすぎて手が遅くなるのは危険です。
特に南場や点棒状況が悪いときは、役満を諦めて対々和や三暗刻、満貫クラスでサッとアガる判断も必要になります。
実戦では、「七対子(チートイツ)と四暗刻の両天秤」になっていることも多いです。
対子手からスタートして、途中で暗刻が増えたら四暗刻寄りに、順子が伸びてきたら普通の面子手寄りに、と柔軟に切り替えるのが大切です。
対々和・三暗刻との分岐
四暗刻は、形だけ見れば対々和・三暗刻の完全上位互換です。
しかし、門前縛りでスピードが遅くなるというデメリットがあります。
そこで大事になるのが、「どこで鳴いて対々和に切り替えるか」という判断です。
目安として、次のように考えるとバランスが取りやすくなります。
- 東場・点棒が余裕 → 四暗刻や高打点をじっくり狙ってもよい
- 南場・ラス目 → 逆転を狙って四暗刻を狙ってよい。親なら連荘狙いで鳴いてよい。
- 南場・トップ目 → 無理な役満追いはリスクが高いので、安全にアガれる手順を優先
また、三暗刻(3組の暗刻)が見えているときは、
- すでに鳴いている面子がある → 四暗刻は消えているので、三暗刻+対々和など普通の高打点を目指す
- 門前で暗刻3組 → ツモり四暗刻の可能性が高いので、無理に鳴かず門前維持を優先
という分岐がわかりやすいです。
点数面で見ると、
- 四暗刻:役満(親なら32000点、子なら48000点)
- 三暗刻+対々和+ドラ:満貫〜倍満クラス
となります。
役満はもちろん魅力ですが、局面によっては満貫・跳満で十分な場面も多いことを忘れないでください。
リーチ判断とダマ選択
四暗刻テンパイ時のリーチかダマかは、実戦でも非常に悩ましいポイントです。
代表的な場面ごとに整理します。
- ツモり四暗刻(シャンポン)テンパイ
- 四暗刻単騎(スッタン)テンパイ
総合すると、
と覚えておくと、実戦で素早く判断できます。

対々和・三暗刻との分岐と、ツモスーならリーチ・スッタンならダマが基本という2点を軸にすると、判断がかなり楽になるよ
四暗刻の注意点とQ&A

最後に、四暗刻で起こりやすいルール問題やスッタンの扱い、他役満との複合、よくある疑問をまとめて解説します。
四暗刻単騎(スッタン)とは
四暗刻単騎(スッタン)とは、暗刻4組がすでに完成していて、頭になる1枚だけを待っている単騎待ちの四暗刻です。
【四暗刻単騎(スッタン)の例】

この形は、どの牌でアガっても必ず四暗刻になります。
特徴は次の通りです。
一部のルールやオンライン麻雀では、この四暗刻単騎をダブル役満として扱います。
代表的な例を表にまとめると、次のようになります。
| ルール・サービス | 四暗刻単騎の扱い |
|---|---|
| 雀魂 | ダブル役満 |
| 麻雀格闘倶楽部 | ダブル役満 |
| 天鳳 | 役名は区別だが点数は単役満 |
| MJシリーズ | 単なる役満 |
| 多くのプロ団体・フリー雀荘 | 単なる役満 |
※最新情報は各公式サイト・ルール説明で必ず確認してください。
歴史的には、「単騎待ちだけ役満」「単騎ツモだけダブル役満」など、かなりバラバラなローカルルールも存在しました。
現在は、点数インフレを抑えるために単なる役満とするルールが主流になりつつあります。
スッタンテンパイのときは、前の章でも書いたように
という理由から、四暗刻単騎待ちテンパイはダマで待つのが基本戦略になります。
四暗刻と他の役満複合
四暗刻は刻子主体の役満なので、同じく刻子系の役満と理論上は複合可能です。
代表的な複合可能・不可能な役満を整理しておきます。
複合しうる役満の例
- 字一色:字牌だけで手牌を作る役満
→ 字牌だけで四暗刻を作れば、四暗刻+字一色のダブル役満 - 清老頭:1と9だけで手牌を作る役満
→ 1・9だけで暗刻4組+頭を作れば複合可能 - 大三元:白・發・中の3種類をすべて刻子にする役満
→ 3組が大三元+残り1組も暗刻にすれば、四暗刻+大三元 - 小四喜・大四喜:風牌の刻子・対子で構成する役満
→ 風牌の暗刻+他の暗刻で四暗刻と重なるケースあり - 緑一色:索子の2・3・4・6・8と發だけで作る役満
→ その範囲で暗刻4組を作れば四暗刻と複合 - 四槓子:槓子4組を作る役満
→ すべて暗槓であれば、四暗刻と重なる理論上のケース
さらに、形と関係なく重なる役満として、
- 天和(親の配牌でアガリ)
- 地和(子の第一ツモでアガリ)
なども四暗刻と複合可能です。
実戦ではほとんど見ることがありませんが、ルール上はトリプル役満以上になる場合もあります。
複合しない役満の例
- 国士無双:1・9・字牌のバラバラ13種類+1枚
- 九連宝燈:1〜9の同色数牌をすべて含む特殊な順子系
- 純正九蓮宝燈:九連宝燈の単騎待ち形
これらは手牌の構造がまったく違うため、四暗刻と同時成立することはありません。
役満の複合は、ルールによって
など、扱いが大きく変わります。
フリー雀荘や大会に出るときは、事前のルール確認が必須です。
他の役を知りたい場合は麻雀役の一覧をご参考ください。
四暗刻に関するQ&A総覧
最後に、四暗刻でよくある質問をQ&A形式でまとめます。
Q1. 四暗刻ってどのくらいの頻度で出るの?
一般的には、役満の中では比較的出やすい部類です。
国士無双や大三元と並んで、初心者が最初に見る役満と言われることもあります。
ただし「1半荘に1回」などというレベルではなく、長く打っていればたまに出る程度のレア役です。
Q2. Mリーグなどプロ対局でも四暗刻はよく出る?
Mリーグでも、シーズンに数回程度は四暗刻が登場します。
たとえば、
- 2024-25シーズン(2024年12月5日 第2試合)
EX風林火山・二階堂瑠美選手が親の四暗刻をツモ和了し、16000オール - 2022-23ファイナル(2023年5月16日 第1試合)
KONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典選手が、リーチ一発ツモ四暗刻で16000オール - 2023年3月2日 第2試合
同じく高宮まり選手が並びシャンポン待ちからのツモで四暗刻
など、観戦記や公式レポートで詳しく紹介されています。
実際の牌姿を見たい場合は、公式サイトのアーカイブや観戦記がとても参考になります。
参考:Mリーグ公式サイト
Q3. リーチ後に暗槓して四暗刻の待ちが変わったらどうなる?
多くのローカルルールでは、リーチ後に待ちが変わる暗槓はチョンボとされています。
たとえば、シャンポン待ちのツモり四暗刻状態で、片方を暗槓して単騎待ちにするような行為は、待ちを変える行為とみなされやすいです。
大会やフリー雀荘では、必ずあらかじめルールを確認しておきましょう。
Q4. 四暗刻を狙いすぎて手が遅くなるのが怖いです。どう考えればいい?
基本的には、
- 東場・点棒に余裕 → 多少の無理はOK。四暗刻チャレンジも選択肢
- 南場・ラス目 → 逆転を狙って四暗刻を狙ってよい。親なら連荘狙いで鳴いてよい。
- トップ目 → 無理な役満狙いはリスク。安全な和了を優先
という目安で考えると、バランスを取りやすいです。
「四暗刻はたまに狙うごほうび」であって、「毎回追うものではない」と考えると、打牌が安定します。
Q5. 四暗刻狙いとチートイツ狙い、どちらを優先すべき?
対子が多い手では、最初はチートイツ本線+四暗刻のオマケくらいで考えるのがおすすめです。
途中で暗刻が2〜3組になってきたら、四暗刻寄りにシフトするイメージです。
手が重くなりすぎないよう、「一番現実的にアガれそうな役はどれか?」を常に意識しましょう。

四暗刻まわりのルールは、「待ちの裁定」「リーチ後暗槓」「スッタンの点数」の3点でよく食い違います。
ネット麻雀・フリー雀荘・大会など、遊ぶフィールドごとにルールを事前確認しておくことが、トラブル回避の一番の近道です。
まとめ:四暗刻を味方にするためのポイント整理

最後に、ここまでの内容を四暗刻の要点としてまとめます。
💡この記事で押さえておきたい四暗刻のポイント:
四暗刻のルールと待ち形をきちんと理解しておけば、ただの「ロマン役」ではなく、
ここぞという場面で勝負を決める強力な武器になります。
この記事の内容を、自分の牌譜やネット対局で何度か振り返りながら、ぜひ実戦で活かしてみてください。

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