麻雀を打っていると、たまに「字牌だらけ」の手が来ることがあります。
そうした手がとんでもない破壊力を持つのが、役満「字一色(ツーイーソー)」です。
字一色は条件さえ満たせば鳴いてもOKで、さらに大三元や四喜和など他の役満と複合しやすいのが大きな特徴です。
一方で、狙いが読まれやすく、むやみに追うと和了(あが)りづらくなるという弱点もあります。
この記事では、字一色の基本ルールから、実戦での狙いどころ、押し引きの判断、他の役満との複合パターンまでを一気に整理します。
💡この記事で理解できるポイント
- 字一色の正確な定義・読み方・点数と、字牌の基礎知識
- 対々和型・七対子型など、字一色の典型的な形と待ちパターン
- 「どんな配牌なら狙うか」「どこで諦めるか」という実戦的な判断基準
- 大三元・四喜和・大七星など、字一色と関連する役満との違いと複合条件
字一色の基本(成立条件・確率・読み方)

まずは字一色の定義と、元になる字牌の知識を整理します。
ここをしっかり押さえると、後の形や戦術の理解がずっと楽になります。
字一色とは何か

字一色は、手牌14枚すべてを字牌だけでそろえたときに成立する役満です。
使える牌は7種類だけで、東・南・西・北・白・發・中の字牌しか使えません。
形としては、基本の麻雀と同じく「4メンツ+1雀頭(あたま)」か「七対子」のいずれかになります。
ただし、1枚でも数牌(萬子・筒子・索子)が混ざった時点で字一色は不成立です。
字一色の主なポイントは次のとおりです。
- 使用牌は東南西北+白發中のみ
- 14枚すべて字牌でそろえる
- 役種は役満(最高クラスの点数)
- 門前でも鳴いても成立する
また、字一色の出現確率は0.005%とされており、役満の中でも割とレアなほうですね。それほどなかなか遭遇しない役ではあります。
ただし、待ちも強い役ではあるため、いざ!という時のために、字一色について学んでおかないと後悔するため、しっかり字一色のポイントを理解しましょう!
字牌の種類と構造
字一色を理解するには、「字牌とは何か」をはっきりさせることが大切です。
字牌は次の7種類です。
これらは数字が書かれていない牌なので、1・2・3のような連続した数字の並びがありません。
そのため、数牌でよく作る「順子(シュンツ、連続した3枚)」が作れません。
つまり、字牌だけで作れる面子は事実上次の2種類です。
順子が作れないということは、「字一色はどうしても刻子・槓子中心の手になる」という意味です。
この性質が、後で説明する「鳴きやすい」「読まれやすい」という特徴にもつながります。
字一色の読み方と点数
字一色の読み方は「ツーイーソー」(またはツーイーソウ)です。
英語表記では「Tsuuiisou」と書かれることもあります。
点数面では、役満(シングル役満)として扱われます。
一般的なルールでは次のような点数になります(親・子の基本形)。
| 立場 | 役満の基本点 | 支払いの一例(ロン時) |
|---|---|---|
| 親 | 48000点 | 相手が48000点支払い |
| 子 | 32000点 | 親16000点・子8000点 |
※細かい支払い方法やダブル役満の扱いはルールによって変わります。
ここで大事なのは、鳴いても点数は役満のままという点です。
門前限定の役満(九蓮宝燈など)と違い、ポンやカンをしても価値が落ちません。
この「鳴きOKの役満」という性質が、実戦での狙いやすさと読み合いのポイントになります。

字一色は「字牌オンリー・鳴きOK・役満」という3点セットで覚えてね。特に「1枚でも数牌が混じったらアウト」という条件は、最初にしっかり頭に入れておきましょう。
字一色の形(対々和型・七対子型)と待ちのパターン

ここでは、実戦でよく出る字一色の形と、待ち方のパターンを整理します。
どんなテンパイ形になるのかが分かると、「今の手牌から字一色が見えるか」を判断しやすくなります。
対々和型字一色の形
もっともよく見る字一色は、対々和(トイトイ)型の字一色です。
つまり「刻子・槓子4組+雀頭1組」が、すべて字牌でできている形です。
たとえば次のようなイメージです。

どの牌もすべて字牌で、4つの刻子(または槓子)+1つの雀頭になっています。
実戦で字一色を狙うときは、ほぼこの対々和型になると考えてください。
ポイントは次の3つです。
- 字牌の対子や暗刻が多い配牌なら、この形を第一候補にする
- 鳴き(ポン・カン)と非常に相性が良く、テンパイまでのスピードを上げやすい
- 一方で鳴きが派手になり、「字牌染め」や「役満狙い」が読まれやすい
特に、場に字牌が多く見えていて、他家があまり字牌を集めていない局面では、対々和型字一色のチャンスが広がります。
七対子型字一色の形(大七星)
もうひとつの形が、七対子型の字一色です。
これは「7種類すべての字牌を1対ずつそろえる」という、非常にきれいな形になります。
例としては次のような手です。

この形は、条件自体はシンプルです。
- 字牌7種類すべてが必要
- それぞれ2枚ずつそろえる
- 他の牌は一切混ざらない
ですが、実戦でこの形が完成することは極めてまれです。
理由は簡単で、7種類すべてから2枚ずつそろえるには、他家と取り合いになりやすく、めったに手がそろわないからです。
一部のルールでは、この形を特別扱いして「大七星」「七福星」などの名前でダブル役満にすることがあります。
ただし、ルールによっては単なる字一色扱いだったり、ローカル役として扱われない場合もあります。
実戦での考え方としては、
- 配牌からすでに字牌の対子が6〜7種見えている
- ツモでもう1〜2種類の対子がすぐできた
このレベルになって、初めて七対子型字一色を本気で意識するくらいで十分です。
字一色の典型的な待ち
字牌だけで構成する字一色は、順子がないため、待ちの形もかなり限定されます。
基本的に「シャボ待ち」と「単騎待ち」の2種類しかないと考えてください。
【シャボ待ち】

【単騎待ち】

なぜこの2種類だけになるかというと、字一色では順子がないため「両面待ち」や「カンチャン待ち」、「ペンチャン待ち」という形が存在しないからです。
実戦では次のイメージを持っておくと分かりやすいです。
どちらの待ちも、「場にどれだけ見えているか」で和了りやすさが大きく変わります。
特に単騎待ちは、待ち牌が場に1枚も見えていない、もしくは1枚見えている程度なら強いが、2枚見えているならかなり苦しいと覚えておきましょう。

字一色は「シャンポンか単騎しかない」と割り切ると、待ち読みや押し引きがぐっとシンプルになるよ。自分がその立場になったときも、他家の字牌の出方をよく観察する習慣をつけておくと有利だよ。
字一色の狙い方と鳴き等の実戦判断

ここからは、「どんな手牌・場況なら字一色を狙うべきか」「どこで諦めるか」といった、実戦的な判断の話に入ります。
高得点を狙いつつも、無理をしすぎて沈まないためのバランスが大切です。
字一色を狙う配牌の目安
字一色は、配牌しだいで「現実的な大チャンス」にも「完全な無理スジ」にもなります。
まずは、どんな配牌なら狙いを意識してよいかの目安を知っておきましょう。
狙う場合の一般的な目安は次のようになります。
実際の進め方の基本はシンプルです。
一方で、ドラが数牌のときは悩みどころです。
点数状況や局面によっては、ドラを活かした普通の手作りを優先した方が得なこともあります。
字一色を本気で狙うかどうかは、
といった「点棒状況」も合わせて考えるのが大切です。
字一色狙いの鳴き判断
字一色は鳴きOKの役満なので、ポン・カンを積極的に使ってテンパイを目指すことが多くなります。
ただし、鳴きすぎると「完全に読まれて止められる」というリスクもあります。
鳴き判断の基本は次のように考えると分かりやすいです。
特に注意したいのは、
「早い巡目から字牌を連続でポンすると、一気に場が凍る」
という点です。
他家は「字牌染め」「役満の可能性」を強く警戒し、字牌をほとんど切らなくなります。
その結果、テンパイまでは早くても、ロン牌が出ずに流局…というケースも多いです。
鳴くときは次のバランスを意識しましょう。
また、ポン・カンは手牌が進む反面、「役満狙いがバレる可能性がある」というデメリットもあります。それを理解すると、場面での鳴き判断に役立つでしょう!
字一色と押し引きの基準
字一色を狙っている途中で、他家のリーチや仕掛けが入ることも多いです。
そのときに「どこまで戦うか」を決める押し引きの基準を持っておくと、放銃リスクを減らせます。
考え方の軸になるのは次の3点です。
具体的には、次のようなラインを目安にするとよいでしょう。
- テンパイ or イーシャンテンで、字牌待ちがまだ十分に山にありそう
→ よほどの危険牌でなければ、基本は押し寄り - リャンシャンテン以上で他家のリーチが入った
→ 無理に役満を追わず、安全牌を切る方を優先 - ラス目でオーラス、役満以外ではほぼ逆転できない
→ 放銃リスクを受け入れてでも押す価値が高い
また、字一色が厳しそうだと感じたときは、代わりに狙える現実的な役へ切り替える判断も重要です。
たとえば、
- 三元牌2組+1枚 → 小三元・大三元へ
- 風牌の対子が多い → 小四喜・混老頭へ
- 老頭牌(1・9と字牌)が多い → 混老頭・清老頭(ローカル役満)などへ
状況に応じて、字一色単騎の一点張りではなく、「どの高打点ルートが一番現実的か」を常に見直しながら進めると失点を減らせます。

字一色はロマンのある役だけど、「狙うと決めたら押し切る局面」と「スパッと諦める局面」を分けて考えることが大切だよ。点棒状況とシャンテン数をセットで見るクセをつけると、押し引きの判断が安定するよ。
字一色と他役満・Q&A・総括

最後に、字一色と他の字牌系役満との関係、七対子字一色(大七星)などのマニアックな話題、そしてよくある疑問をまとめて解説します。
ここまで理解できれば、字一色まわりの役満についてはかなり詳しいレベルです。
字一色と他の字牌役満
字一色は「字牌だけで作る役満」です。
この性質から、同じく字牌を多く使う役満と複合しやすいという特徴があります。
特に意識したいのは次の役満です。
※他にも複合する可能性のある役(四槓子など)はあるため、役を学びたい方は麻雀役の一覧を参考ください
大三元

- 大三元は白・發・中の3種類すべてを刻子(または槓子)でそろえる役満
- 三元牌はすべて字牌なので、字一色と非常に相性が良い
小四喜

- 小四喜は東南西北の4種類の風牌を、4メンツ1雀頭の中ですべて使う役満
- こちらも字牌のみで構成されるため、字一色と複合可能
四暗刻

- 四暗刻は暗刻4組で和了る役満
- 全部字牌の暗刻でそろえれば、字一色+四暗刻も理論上は可能
- ただし条件がかなり厳しく、実戦では超レアケース
字一色と大七星など
前の章でも少し触れましたが、七対子型の字一色は、ローカル役として特別な名前で扱われることがあります。
代表的なのが次のような呼び名です。
- 大七星(ダイシチセイ)
- 七福星(シチフクセイ)
条件はシンプルで、7種類すべての字牌を1対ずつ揃えた七対子です。
形としては、

この形は、とにかく完成難度が高いです。
理由は、
一部のルールでは、この難しさを評価してダブル役満扱いにしています。
ただし、すべてのルールで採用されているわけではありません。
ネット麻雀やフリー雀荘などで打つときは、事前にローカル役の採用状況やダブル役満の扱いを確認しておきましょう。
実戦での考え方としては、
- まずは字一色(対々和型)を第一目標にする
- 配牌や序盤から七対子の形が明らかに見えているときだけ、大七星を意識する
くらいがちょうどよいです。
無理に大七星を追うより、途中で対々和型字一色や大三元・小四喜などへ柔軟にシフトした方が、トータルでは勝ちやすくなります。
字一色に関するQ&A
最後によくある疑問を、Q&A形式でまとめておきます。
Q1. 鳴いても字一色は役満になりますか?
A. なります。字一色は門前限定の役ではありません。
ポン・カンをしても、14枚がすべて字牌であれば役満です。
Q2. 字一色と対々和は複合しますか?
A. 基本的なルールでは、字一色と対々和は複合しません。
役満はそれ単体で役として完結しているため、下位役(対々和や三暗刻など)を重ねて数えないルールが一般的です。
Q3. 字一色が厳しそうなとき、どの役に切り替えるべきですか?
A. 牌姿によって変わりますが、代表的なシフト先は次の通りです。
Q4. 字一色はどれくらいの頻度で出る役ですか?
A. 詳しい統計はルールやスタイルによって変わりますが、一般的に役満の中でもややレア寄りです。確率的には0.005%です。
国士無双や大三元などよりは少なめで、清老頭や四槓子などと同じか、それ以上に珍しいことが多いです。
Q5. 字一色を狙うべきなのはどんな点数状況ですか?
A. 目安としては、次のような場面で狙う価値が高くなります。
字一色の要点総まとめ
最後に、字一色の重要ポイントをコンパクトに整理します。
- 字一色は「14枚すべて字牌」で成立する鳴きOKの役満
- 実戦の主役は「対々和型字一色」で、七対子型はロマン枠
- 待ちは基本的に「シャンポン」か「単騎」のどちらかしかない
- 狙う配牌の目安は「字牌4トイツ以上」+「点棒状況が見合うかどうか」
- 鳴きすぎると読まれて止められるので、「押し切る覚悟がある局面」でこそ本気で鳴く
- 大三元・四喜和などの字牌役満と複合しやすく、ダブル役満以上も十分射程に入る
- 七対子字一色(大七星など)は一部ルールでダブル役満扱いだが、完成は超レア
- 厳しいと感じたら、小三元・小四喜・混老頭など、現実的な高打点ルートへ素早く切り替える

字一色は「配牌が寄ったときに、一気に勝負を決めにいける武器」だよ。無理に毎回狙う必要はないけど、条件と狙い方を理解しておくと、いざというときに迷わず踏み込めるよ。自分のスタイルに合わせて、「どのくらいの配牌なら字一色に行くか」というマイルールを少しずつ作っていこう!
総括:実戦で活かすための字一色のポイント

最後に、本記事の内容を復習しやすいように、字一色の要点をまとめます。
💡この記事のまとめ


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